Group home in Abiko
千葉県我孫子市
知的障がい者のグループホームと、ショートステイおよび相談事業所の合築。2つにも見えるし、1つにも見える。そのような形態を追求した。
A group home for the intellectually disabled, a short stay facility, and a consultation center, which can be seen as two facilities or one.
地域社会との共生
この建築は、知的障害者グループホームを母体に、相談事業所やショートステイが合築された複合建築である。
機能の複合は地域の福祉拠点としての要請である。一方で、グループホームに住む6人にとっては、他の機能は関係がない。この状況を形態化しようと取り組んだ。
切れ込みのある屋根はその取り組みの結果である。2つにも見えるし、1つにも見える。屋根の切れ込みは同時に屋根版を構造的に安定させる。切れ込み部分で集めた雨水は、周辺の緑を育てる源泉にもなっている。
ノーマライゼーションの理念に基づき、入所施設からグループホームへの移行が進められてきた。2020年にはグループホームの利用者数は入所施設の利用者数を上回った。しかしながら、市街地におけるグループホームでは「ミニ施設化」も散見される。「周囲の人びとに迷惑を掛けないこと」に配慮するあまり、周辺との関係を絶ち、利用者の行動を監視する。
ミニ施設化の一端を担っているのは、福祉施設特有の大きな平面と、「家族イメージ」の付与である。これらは結果的に、建物の中心部において「高すぎる天井」か「鬱陶しいあんどん部屋」を生み出す。われわれは「ブドウ棚」という構造的な工夫でこの問題に応えた。
プランは、構造的な壁による箱状の空間を点在させている。居場所の選択性や回遊性を獲得することが、他者や外部と交流するためのきっかけになると考えている。
用途:グループホーム、相談所、ショートステイ
発注者:社会福祉法人柴崎すずしろ会
設計者:
建築 仲建築設計スタジオ
構造 坪井宏嗣構造設計事務所
設備 創環境設計
施工者:大塚建工
規模:
敷地面積 881.11㎡
建築面積 297.03㎡
延床面積 250.62㎡
階数 地上1階
構造 木造