上総喜望の郷おむかいさん

Omukaisan - Houses for the people with intellectual disabilities

千葉県木更津市

知的障害者のための「施設ではなく住まい」。25個の《傘ユニット》による小さな居場所の集合でできている。
A “house, not an institution” for people with intellectual disabilities, consisting of a collection of 25 “umbrella units” that are small places to live.

不定形な中庭のまわりに傘ユニットが連なる。屋根裏に熱だまりをつくり、冬期はその暖気を室内に循環させる
既存建物から見る。新築3棟と合わせて、4棟に23名が生活する
中庭に繋がりながらも、すこし独立した雰囲気のある外部空間。小さな居場所を点在させた
傘ユニットを支える列柱は耐震要素となっている。向きを変えながら配置することで、全体としては強固な屋根を構成
各ハウスのデイルームは、庭に対してそれぞれ異なるプランになっている
列柱をダクトして利用し、床吹き出し空調を行う。デイルーム上部に溜まった暖気を窓際から吹き出したり、太陽光で暖められた屋根裏の暖気を室内に取り込んだりする
床吹き出し口詳細
個室は各棟に6部屋ずつある。ベッドのまま外に移動できる開口巾を持たせることから、1.4mをモジュールとした構造となっている
個室のデイルーム側には欄間を設け、自然通風とプライバシーを両立している
デイルームから個室を見る。収納によって個室のまえにニッチができる
各棟の浴室。職員のサポートを受けながら、ひとりずつ入浴することを前提にしている
共用棟にある特浴室。XYレールリフトを整備
道路側外観。門や塀のない生活環境
各棟にはサービス用駐車場を設置。通院などの外出や給食サービスのため
高さ770mmの欄間が連続し、屋根を軽やかに見せる。通風や排煙の役割も担う。中庭側の建具は木製建具
傘ユニット

施設から住まいへ
千葉県木更津市の山あいに建つ、知的障害者のための住まいである。6人が居住する住まいが3軒あり、間に共用部を挟みながら中庭を形成している。 位置づけとしては、既存施設「上総喜望の郷」の増築である。この既存施設は、当時まだ珍しかった小舎制を、社会福祉法人と設計者である宇野哲生氏らが手探りでつくりあげたものであった。今回は法人の理念をさらに推し進め、個室化および住宅規模の小舎制による「住まいづくり」を目指して計画が始まった。 ハードとソフト両面で「施設たらしめている要素」を洗い出していった。その結果、小さな居場所の集合体のような建築とした。3軒の住まいは中庭との関係を重視して計画し、それぞれは独立的で、またその間取りも異なるものとした。デイルームはワンルームでありながらも、さまざまな居場所が集まったような空間である。

用途:知的障がい者支援施設(入所)
発注者:社会福祉法人みづき会
設計者:
 建築 仲建築設計スタジオ
 構造 坪井宏嗣構造設計事務所
 設備 総合設備計画
 土木 創和計画
 植栽 マインドスケープ
 積算 高輪建築コンサルタント
 家具 藤森泰司アトリエ
 開発 梅津測量事務所
 監修 宇野哲生(宇野哲生アトリエ)
施工者:大城組
規模:
 敷地面積 6,302.41㎡
 建築面積 1,202.99㎡
 延床面積 1,108.51㎡
 階数 地上1階   
 構造 鉄骨造